表現のテクニック:その5「いい音で鳴らす」


私はレッスンで「いい音」という言葉をよく使います♪

「このキレイなメロディーをもっと『いい音』で弾こうよ!」
「5の指の音がかすれ気味だから『いい音』になるように重心を5に乗せよう」
「ここはフォルテだけどただ『強い』んじゃなくて豊かな『いい音』にしよう」

ピアノは管楽器や弦楽器と違って鍵盤を押せばとりあえず音は鳴らせますが、やはり「いい音」と「そうでない音」とは大きな違いがあります。

「同じピアノなのに先生が弾くと音が違いますね!」と言われたりしますが、やはりコツがあります。


大人でピアノを始めたTくんというお兄さんのある時のレッスンで、

「じゃあ一通り譜読み出来たところで、この曲とりあえず、一つ一つの音を全部フォルテで鳴らして弾いて行こう!」

と言うと、

「え、でもこの曲静かな曲ですよね?なんかイメージが違う気がしますけど・・・」

と戸惑っていました。


「そう!最終的には静かでキレイな表現にして行くけど、まずは『いい音』にするために『鳴らす』練習をして行こう。」

「『鳴らす』ですか?」

Tくんは家では電子ピアノということもあってこの時はまだちゃんと鳴らせていませんでした。


そして学生の時はずっと野球を本格的にやっていたというTくんに、

「そう、ピアノをちゃんと『鳴らす』にはね、ジャストミートさせることなの!」

「ジャストミート!?」

「そう!!芯で捉えて、そして振り抜くの!!(←バットでボールを打つ動きをしながら)」

「おおっ!!」

「それができてから強弱はちゃんとやるよ♪」

「ジャストミートできてから左右に打ち分けるんですね!?」

「そうそう。(笑)それでね、ジャストミートしてちゃんと鳴らせていれば例えばP(ピアノ)で弱く弾いてもかすれたような音じゃなくてちゃんとポーンと遠くまで通る響きのいい音になるんだ。野球もそうじゃない?ちゃんとジャストミートしてたら力まなくてもボールが飛ぶんじゃない?」

「そうです!!なんでわかるんですか!?」

「わかる!!やったことないけど!!」


「あのね、具体的に言うとね、『いい音で鳴らす』って、ハンマーが弦を打つまで加速したままで減速しないで打つのがコツなんだ。」

「ほおー。」

「なので鍵盤の表面の方じゃなくて底までストンと打つイメージで弾いてみよう。
野球でもボールに当たるところまで振るんじゃなくて、最後まで振り抜け!!って言うでしょ?あれは加速したままボールを打つってことでしょ?」

「そうですっ!!なんで分かるんですか!!」

「わかる!!やったことないけど!!(笑)」


「だからね、指の関節がフニャフニャしてしっかり支えられていないと鍵盤に当たった時や途中でクッションになって打鍵のスピードが減速しちゃうから、指はしっかり支えていないといけないの。」

「なるほど。」

「じゃあゆっくりでいいから一つ一つまずはしっかり『鳴らす』意識で弾いてみよう。」

「はい!」


「あ、それだと軽過ぎるな。一つ一つ、指先に重みを乗せるように弾いてみよう。」

「重み??」

「うん、じゃないと打鍵する時に鍵盤の『抵抗』に指が負けて減速しちゃうのよ。野球でもさ、打つ時に体重を乗せろって言われない?」

「そうです!!言われます!!なんで分かるんですかー!!」

「わかる!!やったことないけど!!(笑)」


「あ、なんか『鳴らす』って感じが分かってきたような気がします。」

「そうそう♪ 鳴らせてきたね!いい音になってきたよ。音に『芯』があって、『響き』があるね。」

「あーなんか気持ちいいですねえ♪」


ってな感じで『いい音』を鳴らすレッスンでコツをつかんで、この間の発表会では初めてながらみなさんに「音がきれいでしたね〜!」と大好評でした♪
電子ピアノの人でもレッスンでやっていけばちゃんとコツが掴めるようになりますよ♪

芯があって響きのある「いい音」を一度鳴らせるようになると耳がそれを快感として覚えるので、あとは自然に自分で自分の音を聴きながらそういう音を鳴らすようになってきます。子供もそうですね。
そして慣れてくるとだんだん無駄な力も抜けて楽に鳴らせるようにもなってきます。

「打つ」って言うとちょっと乱暴なイメージに聞こえるかもしれませんが、実際にピアノの発音の仕組みとしてはもちろん完全にハンマーが弦を「打って」鳴らすわけで、それをいかにコントロールして行くか、それに尽きるわけです。

このやり取りの中で出て来た、野球でジャストミートさせるイメージを取り入れてみるのも一つのヒントになるかと思います♪

そして、これは基本の「いい音をしっかり鳴らす」というレッスンでしたが、ほかにやわらかい音のタッチや軽い音のタッチなど、様々なタッチの仕方がありますね。


 ♪ カテゴリー「表現のテクニック」 ♪
  その1「基本編」
  その2「聴き分ける」
  その3「ペダル」
  その4「転調」



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2017/04/19 (Wed) / 【演奏法】表現のテクニック / comment(2)
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無題
「いい音」で弾くって結構難しいですよね〜(。-_-。)
発表会の練習で「糸」弾いてた時も、私だいぶスカッスカッてなってましたからね。。笑
だけどやっぱり「いい音」で弾けた時は自分で「おお〜」ってなりますよね!!!
ピアノって色んな音が出せるんだな〜ってしみじみ思います(*^^*)

モーツァルト練習しつつ、バッハも譜読み始めました〜♪なんだかとっても新鮮な感じです♪♪
...2017/04/20 19:12 なおみ [edit]
無題
>なおみちゃん♪

いやーなおみちゃんは「いい音」のコツをつかむのは早かったと思うよ!
なおみちゃんも発表会で「音がきれいでしたねー」ってみんなに言われてたもんね!
鳴らしづらい所もあるけどね☆

お!バッハも始めてるんだね!
バッハは最初片手練習をたくさんやってそれぞれのメロディーを分かるようにしてから両手合わせるといいよ♪
またレッスンで一緒にやりましょー。
(^_^)
...2017/04/21 00:25 ぴこ [edit]


アレクセイ・ゴルラッチ ピアノリサイタル home Chopin Sonata No.2 Op.35
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せんせい
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自己紹介:
土浦市のピアノ教室の先生でぴこと申します。
猫の「いちご」と暮らしてます。

武蔵野音楽大学でピアノを専攻し卒業後土浦で教室を開きました。

ピアノを教えることも弾くことも大好きです!
毎日生徒のみんなとレッスンするのが楽しみです♪
現在は尊敬するピアニストのN先生にレッスンしていただいています。

ジャズピアノも勉強中。千葉県のA先生にレッスンして頂いてます。

音楽理論も大好き♪理論のレッスンもします。

音楽はクラシック以外にも様々なジャンルを聴きます。

音楽以外の趣味はHIPHOPダンスです。2016年からスクールに通っています。
基本的には家で猫と過ごします。
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